稲盛さんのことば

聖人君子でもなければ 
善き思いだけで心を満たすことはできません。 

人間はもともと生きていくために 
欲望や怒り、愚痴を持つようにつくられています。 

しかし、そのような悪しき思いが 
過剰であってはならないのです。 

悪しき思いを出来る限り抑え、 
少しでも善き思いがわき出るように 
していかなければなりません。 

そのためには、日々、 
自分の心に言い聞かせるようにして 
悪しき思いを抑えることに 
繰り返し努めていくことが大切です。 

そうすれば、次第に善き思いが 
心の中で占める割合が大きくなり 
やがて行動となって現れてくるはずです。 

「そんな思いやりに満ちた心などといっていては、 
厳しいこの社会をわたっていけるのか」 

と、疑問に思われることもあるでしょう。 

そうではありません。 

善き心こそが、 
強大なパワーを持っているのです。 


20世紀初頭にイギリスで活躍した 
 啓蒙思想家のジェームス・アレンは 

「汚れた人間が敗北を恐れて 
 踏み込もうとしない場所に、 
 清らかな人間は平気で足を踏み入れ、 
 いとも簡単に勝利を手にしてしまう。 

それは、自分のエネルギーを より穏やかな心と、 
 より明確で、より強力な目的意識によって 
 導くことができるからだ」 

と述べています。

人生も同様です。 

心に抱く「思い」が純粋で善き思いであるよう 
努めていかなければなりません。 

優しい思いやりに満ちた思いを抱き 
誰にも負けない努力を重ねれば 
人生は必ず豊かで実り多い、 
素晴らしいものとなることが 
約束されているのです。 

※出典…人間学を学ぶ月刊誌「致知」10月号
     巻頭の言葉「善き心は強大なパワーを持つ」
     by京セラ名誉会長 稲盛和夫 より