五日市剛氏の心に響く言葉より… 



会社で上司にキツく叱られた、とします。 

「ちくしょう、なんでオレばっかりが。 

腹たつなぁ」。 


そんなとき、すぐに自分に「ありがとう」といってみます。 

ちょっと深呼吸して間をおいて、もう一度「あ・り・が・と・う」。 

すると、不思議とそれ以上、腹が立ちません。 


次に、つぶやいた言葉に見合った行動をとります。 

実はこれがいちばん大事なポイントなんです。 


行動なき言葉は弱く、やがて消え去ってしまうからです。 

僕なら、自分を叱責した上司のもとへトコトコ歩いていき、もう一度謝罪します。  

そして、二度と同じミスを犯さないための具体的な対策と決意を伝え、さらに注意してくださったことに「ありがとうございます」と頭を下げて感謝します。 

上司は目を丸くするでしょうが、心の中ではとても感謝するでしょうね。 


これで上司に対してのわだかまりはなくなると思います。 

そんな行動をとった自分も「よっしゃ!」とガッツポーズ。 


そして、腹が立ったときにすぐにつぶやいた「ありがとう」がそのきっかけであることを思い返し、「ほんとうにありがとうだよなぁ」としみじみ感じるわけです。 


このように、嫌なことがあっても前向きな行動が伴う感謝の言葉は、結果的に感謝の想いを深め、状況を生きやすい方向へと導いてくれます。 

愚痴(ぐち)をこぼしたり、陰口をたたくなんてことはなくなるでしょうからね。 


ある日、こういう質問がありました。

「先日、私は犯罪の被害にあいました。 

こんなとき、犯人に対して、あるいはその事柄に対して“ありがとう”というのでしょうか?  

大切な家族や友人が被害にあっても、やはり“ありがとう”ですか?」 


僕は次のようにお返事させていただきました。

「犯人に対していうのではありません。 

“ありがとう”は自分に対していうのです。 

落ち込んだ自分を励ます“ありがとう”であり、不幸の連鎖を断ち切る言葉なんです。 

この言葉を自分に対し心を込めて発すると、それ以上嫌な気分になりませんし、続けてマイナスの言葉が出てきにくくなります。  

そして、物事の流れをよりよい方向に切り替えてくれ、後の自分の成長のきっかけとなると思っています。  

どうか、魔法の言葉の真意をご理解ください」 

『なぜ、感謝するとうまくいくのか』マキノ出版 




心は、ある言葉を発すれば、それに見合った状況を探すようになる。 

それは、インターネットの検索と同じで、「ありがとう」と言えば、有り難いこと、感謝することを探す。 

たとえ、怪我をしたとしても、「この程度で済んでよかった、ありがたい」、というように。 


しかし、愚痴や不満を言えば、それに見合った、辛い嫌なことばかりを探し出す。  

付き合っている人が、汚い言葉や、愚痴や泣き言、悪口ばかり言う人なら、自分も汚い言葉や、不平不満ばかりを言うようになるのと同じだ。 

言った言葉が、現実を引き寄せる。 


「行動なき言葉は弱い」 

嫌なことがあっても「ありがとう」と発し、それに見合った行動をとりたい。