矢沢永ちゃん最終話

永ちゃんの感動する話の4回目、最終回です。 

幸せに向かっていますか? 

僕の生き方を見て勇気をもらったと言ってくれる人は多い。 

現役でがんばり、手痛い目にあっても必ず立ち上がってくる姿がいいって。  

でも、僕のことを観客席から声援しているだけじゃなくて、みんな自分の人生を目いっぱい走っていますか。 

リストラされて、もう生きる気力がなくなったなんていう人がとても多いけど、考えてもみて欲しい。 

リストラされるのはその人の能力がないからじゃないし、人格を否定されたわけでもない。 

単なる会社の都合だけだ。 

経営者は税金を払ったり、会社を継続させるために苦しい選択として、必死でリストラをしている。  

そんな会社の都合だけなのに、自分の人生を自分でとことん否定するなんて違うと思いますけれどね。 

辛いのはわかる。 

でも、また立ち直れるじゃないですか。 

雑誌やテレビ、新聞にも惑わされないほうがいい。 

マスコミはリストラされた人間に対して、能力的に問題があるように語るけど、彼らにおれの何が分かるんだと思うでしょ。 

だって、リストラされる前と、された後と、自分自身は何も変わっていないはずだから。  

地道にがんばってきた仕事人を馬鹿にするなと言いたいよね。  

家族を養うために、会社の業績のために、毎日どれだけ誠実にやってきたか。  

本当はそういう仕事人で日本という国は成立している。 

親父サラリーマンが、みんな、もう地道に働くのは疲れたと言って、仕事を放り出して釣りにでも行ってしまったら、日本なんてガタガタでしょ。 

人には底力があるんだ。 

だからまだ何度でも走り出そう。 

矢沢もがんばるから、みんな自分人生の主人公として元気を出そう。 

その時の、人の思惑なんて気にせず、自分の闘い方でいいと僕は思っている。  

若い人は「中年はダサい」とか、「親父は古い」なんて決め付けているけれど、本当にそうかと真剣に考えてみたことがあるだろうか。 

僕は息子に言う。 「お前は大学生だけど、まだ何者でもない」ってね。 

僕は高卒だけど、人生を自分なりに生きて、やりたいことをやり、多くの体験をし、悪くない一生だったと言えるだけのことをしてきた。 

最終的には「人生の東大生」なんだと。 

自分の人生がどうなれば幸せなのかって、本当に本人でなければ分からないんだ。  

だから若い人でも、中年でも、とにかく自分に問いかけてみるしかないのだと思う。  

どんなに有名になっても、いくつものビルを建てることに必死になっても、死後まで持っていくことは出来ないしね。  

自分が棺桶に片足入れた時に、「おれの人生悪くなかった」と思って卒業するにはどうすればいいかでしょう。  

誰にでも大切なのは、自立することだと思う。 

僕はそれをおばあちゃんから教えられた。 

生活保護を受けながら孫の僕を育て、好きなお酒を飲むお金は、人の家の草を刈って自分で用意していた。 

一緒に暮らそうと言う子供にも頼らず、最後までそうやって生きた。 

かっこよかったね。 

僕も自立した心で、自分の人生を思うように走りたいと感じたものだ。 

最近の日本は何かが壊れている。 

社会に迷惑かけたり、依存したり。 

でも、自分で立ち、自分の手で稼ぎ、そして自分の幸せを目指そうよ。