辰吉丈一郎の考え方
 
山本集さん、ごぞんじですか?やくざから一転画家へ転身されて執筆活動などをされてるおもろいおいちゃんなんですが、その方の「勝ち組」(我々がいうところの価値組)という本の中で辰吉丈一郎のエピソードについて触れてありましたのでご紹介したいと思います。
 
98年暮れにおこなわれたWBC世界バンタム級チャンピオンの座をかけて、辰吉さん、タイの挑戦者、ウィラポンさんとの試合にのぞんだんですね。
 
結果は、28発の強烈なコンビネーションブロウを顔面に浴びせられての完敗。
ファイティングポーズをとったまま、リングに沈んでしまったのです。
 
山本さんはさっそく辰吉選手に激励のお手紙をだしました。
 
すぐに辰吉選手から電話があったそうです。
 
実は励ましの手紙よりも、「死んでしまえ」、「おまえは所詮ただのゴンタ(不良)や、ボクシングなんかやめて、とっとと岡山え帰れ」という内容の手紙がすくなからずあったらしいのです。
 
けれど、辰吉さんはあっけらかんとしてこういったそうです。
 
「ぼく、その手紙を神棚に上げたんです」なぜかといえば、、、、
 
「ぼくの試合を観て、わざわざ手紙を書いて、切手を貼って、ポストに入れる。この人らそんな手間をかけてまで、『思い』を伝えんと気がすまんかったんやろな、、、、。そう思ったらこの人らこそ本物のぼくのファンやと思い当たりましたんや。そやから、これからボクシングを続けてゆくためのエネルギーを、この手紙たちからもうろうたろ、思たんですわ」と。
 
辰吉選手はいいます、リングをおりんかぎり、まけはない。