1962年。
その男は一人、西宮からヨットで太平洋へ繰り出した。
「今から太平洋を一人で、このヨットで横断してみせる!」
その男が心に秘めた情熱だった。
そんなのできるわけがない!
ありえない!
しかし、彼はサンフランシスコに着いてしまったのだ。
やってやれないことはない。
やらずにできるわけがない。
1人でヨットで太平洋横断した伝説の人、
彼の名は堀江謙一。
しかし、それは犯罪であった。
当時はヨットによる出国が認められていなかったので、
密出国になるのである。
偉業を成し遂げたもののそれは立派な犯罪。
日本では非難が殺到することに。
しかし、当時のサンフランシスコ市長は、こうコメントを残す。
「コロンブスはパスポートを持っていたかね?」
そう言って彼の挑戦に敬意を払い、
彼を名誉市民として受け入れたのである。
日本国内でのマスコミも手のひらを返すように
堀江の偉業を称えるものに変化した。